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夜空をどう再現しているか

星空図は3つの問題の積み重ねです。どんな星があるのか、その瞬間に天球のどちら側があなたの場所に向いていたのか、そして半球を紙の上にどう平らにするのか。順に説明します。

1. 描く星について

HYGデータベースから5.5等より明るい星を描画します。このデータベースはイェール輝星カタログにヒッパルコス、ティコ2の位置天文データを組み合わせたものです。J2000の赤経・赤緯は、IAU 1976の式(Meeus『Astronomical Algorithms』第21章)で指定日の分点へ歳差補正します。

固有運動はあえて扱いません。1900年から2100年の間で、典型的な星の移動は0.01度に遠く及ばず、完成図では1ピクセル以下です。大きさは見かけの等級、色はB-V色指数に従うため、ベテルギウスは橙、リゲルは青白くなります。

2. その瞬間、どちら側の空を向いていたか

これは地方視恒星時という一つの値で決まります。IAU 1982の級数でグリニッジ視恒星時を求め、東経を加えます。得られるのは、その瞬間に子午線を通過している赤経です。

そこから各星の時角が、標準的な球面変換で高度と方位角になります。入力時刻はその年の歴史的な時差で変換されるため、当時の夏時間ルールも正しく反映されます。

3. 半球を平らにする

天頂を中心に、地平線がちょうど円周に乗る立体投影(平射図法)を使います。これは正角投影なので、オリオンや南十字の形が歪みません。高度と方位角をそのまま並べる方法ではこれはできません。

円盤は印刷星図の慣例に従い、上が北、左が東です。仰向けになって見上げた通りの向きであり、だからこそ図は見た空と一致し、地上の地図とは一致しないのです。

4. 月と惑星

月はELP2000-82Bの切り詰め月理論、太陽はMeeus第25章の視黄経級数、水星から土星は完全なVSOP87級数に光行時補正と年周光行差補正を加えて計算します。

これらは本命盤計算機と同じ級数で、NASA JPL Horizonsに対して1分角以内で検証されています。黄緯も含めるため、月の印は黄道の正しい側に置かれます。

5. 天の川の帯

円盤上の淡い光は銀河座標系から描いています。銀緯一定の円を描き、他と一緒に投影します。帯がどこを通るかを示すもので、当時の明るさを示すものではありません。

これは視覚的な近似であり、測光ではありません。たまたま正しい位置にある装飾です。

データソースと参考文献

  • HYGデータベース(ヒッパルコス、イェール輝星カタログ、ティコ2の位置天文データ)。three-starmapにMITライセンスで同梱。
  • d3-celestialの星座線データ、BSD-3-Clause。
  • Meeus, J. Astronomical Algorithms, 2nd ed. (Willmann-Bell, 1998): 第12、21、22、25、32章。
  • VSOP87惑星理論(Bretagnon & Francou, 1988)およびELP2000-82B月理論(Chapront-Touze & Chapront, 1983)。astronomiaライブラリ経由。

この図が示すもの、示さないもの

これは星がどこにあったかを幾何学的に正しく描いた図です。位置、回転、投影は手描きではなく計算されています。ただし写真ではありません。大気差は地平付近の星を最大0.5度持ち上げ、街の明かりは4等より暗いものを隠し、天の川は様式化された帯です。「あの夜、あの微光星が肉眼で見えたか」を知りたい場合、この図は星の位置は教えてくれますが、見えたかどうかは教えてくれません。